もののけ姫は、1997年にスタジオジブリより公開された、長編アニメーション作品です。「生きろ」というキャッチコピー通り、様々な角度から「生」について語られています。壮大な自然を切り開き、新しい文明を発展させようとした人間。そして、昔から続く豊かな自然と自分たちを守ろうとする獣や神々。見る角度によって、その行いが善なのか、悪なのかが変わる深い作品です。
今回は、『もののけ姫』のタイトルにもなっている、主人公・サンについての解説です。山犬・モロに育てられた彼女の生い立ちから、アシタカとのその後まで詳しくご紹介!さらに、ハロウィンで人気があるサンの衣装についても触れていきます。是非最後までチェックしてみてくださいね!
『もののけ姫』主人公・サンのプロフィール!年齢や声優など
名前 | サン |
性別 | 女性 |
年齢 | 15歳 |
見た目 | 顔に赤い刺青、白のノースリーブにネイビーのスカート |
声優 | 石田ゆり子 |
山犬・モロに育てられた少女・サン。名前の由来は、1983年に発売された絵本「もののけ姫」の中に出てくる「三の姫」です。年齢は15歳と公開されています。身に着けているのは、白のノースリーブにネイビーのスカート。顔には赤い下向き三角の刺青が入っており、獣の牙のようなネックレスを首にぶら下げていました。
サンの声を担当したのは、当時27歳だった石田ゆり子さん。実は石田さん、映画の序盤に登場したカヤの声も担当していました。恋敵の2人を担当するなんて、石田さんも複雑な心境だったのではないでしょうか。
『人間は嫌いだ』サンの悲しすぎる生い立ちとは
サンは、生贄として山犬に差し出された赤ちゃんでした。病気の人に仕事を与えるためにできたタタラ場は、山を切り開き作られた場所。山の開拓により、自然が破壊され、獣たちは居場所を失います。山の神々が怒るのも仕方ありません。山の神々の怒りを収めたかった人間は人の子を差し出しました。その子供がサンです。サンの「人間は嫌いだ」という気持ちもわかりますよね。
また、サンの母親はエボシであるという都市伝説があります。エボシは、タタラ場を統治するまで海賊の1人でした。その時に身ごもったのがサンではないかと言われているのです。公式では、2人は親子であると公表されていません。もしサンとエボシが本当に親子だったら、悲しい親子の物語にも見えますね。
サンは劇中で生理になったの?
ジブリの作品では、少女が成長する過程で生理になる設定がよく取り入れられます。魔女の宅急便でキキが飛べなくなった時や、千と千尋の神隠しで千尋が寝込むシーンが代表的です。サンも同じ世代なので、映画のどこかで生理になったのではと考察する声があります。しかし、実際には、サンが劇中に生理になった事実はありません。推測する声が生んだ都市伝説でしょう。
サンの名セリフ3選
サンは当初、とても冷たく強い言葉を発していました。後半になるにつれ、人間味が増し、柔らかい表現が多くなります。しかし、どれも一貫しているのが、サンの言葉には強い芯があるということ。家族や仲間に対して愛に溢れた少女・サン。彼女のセリフに勇気をもらった人も多いのではないでしょうか。ここからは、サンの有名なセリフを3つ紹介します。
「好きなところへ行き、好きに生きな」
サンが倒れたアシタカを介抱している時、アシタカのパートナー・ヤックルにかけた言葉です。もう自由だよ。この人間から逃げて好きなように生きていいんだよ。とまるでサン自身に言っているようにも感じる一言でした。
「死など恐いもんか。人間を追い払うためなら命などいらぬ」
サンとエボシの仲裁をしたアシタカに向かって言った言葉です。自らも人間でありながら、森を守る宿命を背負ったサン。山犬のモロに育てられた彼女からしてみれば、自分自身も人間と同じ形をした醜い存在だったのではないでしょうか。
「アシタカは好きだ。でも、人間を許すことはできない」
映画のラストで2人が別れる時にサンが言ったセリフです。あの気が強いサンがはっきりとアシタカのことを「好きだ」と明言しました。お互いの役割を理解し合い、それぞれの場所で生きていくことを認め合った瞬間でした。「でも、人間を許すことはできない」の言葉は、私は森を守り続けていくという強い意志の表れではないでしょうか。
サンのコスプレしたい人必見!サンの衣装を徹底解説!
もののけ姫のサンといえば、ハロウィンで仮装する人をよく見かけます。サンの衣装は、装飾品は凝った作りが多いです。しかし、身に着けている服はシンプルなので手に入りやすく、コスプレするハードルは高くありません。コスプレする人に是非知っておいてほしいサンの衣装についての情報をまとめました。是非チェックしてみてくださいね!
サンのお面は何でできているの?
サンは自分のことを山犬だ!と言っています。しかし、真っ赤なお面は山犬に似ても似つかず違和感を感じませんか?お面の元ネタは、縄文時代の土偶です。宮崎駿監督は、サンについて「少女は類似を探すなら縄文期のある種の土偶に似ていなくもない」と言っています。サンのイメージはまずあのお面から始まったそうです。そう考えれば山犬と似ていないことも納得できるでしょう。また、お面は絵コンテで「土面」と表記されています。素材は土を焼いて作る陶器のようなものだったのではないかと考察できますね。
顔の模様の意味は「涙」
サンの顔に入っている赤い模様、元ネタはアイヌの顔刺青です。アイヌの女性は、初潮を迎えると顔や手に青い刺青を入れていました。結婚できる女性になった証でもある顔刺青。宮崎駿監督は「サンが決して流さぬ涙の代わりなのかもしれない」という言葉を残しています。ところで刺青は誰が入れたのでしょう?モロが前足で入れるのは、どうも難しそうですよね。となると、サンが自分で入れたと思って間違いなさそうです。「自分は山犬だ、人間じゃない」と言い聞かせながら顔に刺青を入れていたのではないでしょうか。
服はサンの手作り?裁縫はモロが教えたの?
サンは、山犬のモロに育てられたにもかかわらず、服を着ています。それも森に落ちている葉っぱや枝などではなく、ちゃんとした服でした。どうやらサンは、針仕事ができたようです。アシタカがサンとエボシの仲裁に入ったとき、胸を銃で打ちぬかれました。その後、目が覚めた時には、服に空いていた銃の穴が塞がっていたのです。エボシにナイフで切られたアシタカの頭巾も同様。アシタカは眠っていたので、穴を縫えたのはサンしかいません。サンはモロに裁縫を教わったのではないかと考察されています。モロは300年生きているので、人間世界の裁縫の技術について知っていてもおかしくないでしょう。
サンとアシタカの恋はどうなった?映画で語られないその後を考察!
最初は、アシタカに対して敵対意識を持っていたサン。エンディングでは恋が芽生え、キスまでしていましたね。映画では「アシタカのことは好きだ」と言っていたものの、その後2人がどうなったのか謎のままです。果たして2人はどういう未来を迎えるのでしょうか。
禁断の関係?もののけ姫・サンとアシタカの恋
サンとアシタカは出会ったとき、獣と人間の関係でした。サンは自然を脅かす人間に恨みを持ち、自分のことを「人間じゃない!」と言い放つ場面も。そんなサンは自然の大切さに理解を示すアシタカに惹かれていきます。最初は気づいた自分の気持ちを、肯定できない様子でした。アシタカと出会うまで、人間は「悪」だと思い、戦い続けてきたサン。恋をしたと認めるには、時間がかかりますよね。周りも否定的で、まさに禁断の恋でした。
ちなみに2人は、石の洞窟で一夜を共にしたときに、大人の関係になったと言われています。宮崎駿監督も「わざわざ描かなくてもわかりきってるじゃないですか」と認めているそうですよ。
アシタカは故郷のカヤと付き合っていた
カヤはアシタカの許嫁(いいなずけ)でした。「あにさま」と呼んでいたので、兄弟や従妹のような関係だと思っていた人も多いのではないでしょうか。アシタカの故郷エミシ村では、目上の男性を「あにさま」と呼び敬意を示していました。映画の冒頭で、カヤが「いつもいつも、あにさまを思っています」とアシタカに渡した黒曜石の小刀。この小刀はエミシ村では貞操の印として扱われています。ただのお守りではなく、他の人と恋愛関係にならないことを誓っている印なのです。しかし、その小刀はその後、サンに手渡されます。
サンの声優を担当した石田ゆり子さんは、違和感を覚え、宮崎駿監督に抗議しました。宮崎駿監督は「男なんてそんなもん」と軽く返事を返したんだとか。カヤの気持ちを思うとかわいそうでなりませんね。
サンとアシタカのその後とは
映画では、サンとアシタカがお互いの好意を確認し合い、エンドロールを迎えました。その後について、映画の中では細かく描かれていないので、視聴者が気になるのは当然のこと。その答えがあったのは意外にも絵コンテの中でした。ラストのシーンでサンが言った「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」というセリフ。これはアシタカのプロポーズに対する返事でした。
アシタカは映画の最後で「ヤックルに乗って会いに行く」と告げています。2人は、今でいう通い婚のような形をとっていたのではないでしょうか。2人が人間と森の架け橋になってくれたら嬉しいですね。