【千と千尋の神隠し】カエルの名前や正体は?ナメクジ女との関係を解説

スタジオジブリの代表作「千と千尋の神隠し」には湯婆婆、リン、カオナシなど千尋を支える個性豊かな脇役たちが多く登場します。

その中でひそかに話題になっているのが油屋の従業員である「カエル」です。

ファンの間では「名脇役」「印象的なセリフが多い」など多くの高評価が出ています。

今回はカエルの担当声優や見どころ、そしてカエルに隠された「千と千尋の神隠し」の設定についても考察していきます。

目次

【千と千尋】カエルのプロフィール

本名青蛙(あおかえる)
性別
年齢不明
声優我修院達也(がしゅういんたつや)
性格金の亡者、仕事には真面目、力関係には弱い

千と千尋の神隠しの公式ガイドブック『ロマンアルバム』によると、カエルの本名は青蛙です。

性別は声から判断して男で間違いないでしょう。

しかし年齢は『ロマンアルバム』でも公表されておらず、詳しくは分かっていません。

性格は何といっても金に目がないところが特徴的。

カオナシがばらまいた砂金を必死に集めていたシーンからも分かるように、金への執着心は相当なものですね。

その反面、仕事面は真面目です。

ハクが油屋に戻ってからも湯婆婆との言いつけを守り、ちゃんと業務をこなしていました。

そして、力関係には弱い部分があります。

上司の立場である父役や兄役からの命令にはへつらいながら、初対面の千尋には高圧的な態度を取っていましたよね。

着ているのは法被とハチマキなので、見習の立場という解釈もできます。

真面目だけど金の亡者という斬新な二面性が、青蛙の魅力ですね。

カエルの担当声優は我修院達也さん

青蛙の声を担当したのは俳優の我修院達也さんです。

6際から芸能界で子役として活動し、ドラマ「鮫肌男と桃尻女」で演じた声を宮崎駿監督が聞いていました。

その声のキーをもう少し高くしてもらいたい」と、監督から直オファーがあったとか。

脇役とはいえ監督からの直談判が出るのは、我修院さんの個性が光った瞬間ですね。

宮崎駿監督はこの映画で上條恒彦さん、小野武彦さん、大泉洋さんなど多くの名俳優を声優として生かしているので、ここは監督らしさが出ていますね。

直接オファーをもらった我修院さんは、カエルらしさを出すために10体のカエルのぬいぐるみを収録現場に持ち込んで徹底的な役作りをしていました。

当時絵コンテにはカエルの絵がなく、青蛙は宮崎駿監督が直接加えたキャラクターです。

役者らしいストイックな役作りのおかげで、「我修院スタッカート」「我修院テヌート」と呼ばれる独自の発生方法が誕生しました。

宮崎駿監督は完成した声を聞いて大笑いしていたようです。

ちなみに我修院さんは、「ハウルの動く城」のカルシファー役を務めたスタジオジブリには欠かせない声優さんです。

鼻声のような独特な声はキャラクターの魅力を何倍も強く引き出し、主人公を盛り上げる脇役を担っていました。

【千と千尋】カエルの正式名称や正体

油屋の男性スタッフ=人間に化けたカエル

湯屋の男性は、見た目は男性ですが顔はカエルにすごく似ています。

しかし作中では言葉も喋れて普通に働いているので「カエル顔の人間」と言ったほう自然です。

青蛙のようにぴょんぴょん跳ねているわけでもないので、人間のようなカエルという判断は難しいですね。

役職が付けられているカエルも存在

作中で役職がはっきりしているカエルが3匹います。

青蛙の上司である父役、兄役、番台蛙です。

判断基準は、彼らが身に着けている帽子の色です。

彼らの帽子は烏帽子(えぼし)といい、奈良時代~江戸時代まで使われた男性の筒状の被り物です。

烏帽子の色で役職の階級が決まる仕組みとなっています。

父役は緑、兄役は赤、番台蛙は黒の烏帽子を身に着けていますね。

Web辞書「コトバンク」で色の階級は603年に聖徳太子が定めた「冠位十二階」に記載されており、貴族の階級を紫、青、赤、黄、白、黒の6段階に分けたのです。

この中に緑は記載されておらず明確な事実は不明ですが、兄役と番台蛙の身分の差は明白ですね。

【千と千尋】カエルの主なセリフ

名セリフが多い「千と千尋の神隠し」では、カエルの名セリフが2つ挙がっています。

千のお陰で俺たち助かったんです

後半青蛙はカオナシに喰われますが、千尋がカオナシに投げた泥団子で一命を取り留めています。

その恩もあってか、油屋で最も強力な権力を持つ湯婆婆に対して「千を助けてほしい」と見習の身分で必死に懇願しています。

脇役が主役を助けるというシーンは、とても印象に残る素敵なシーンですね。

それ、金か?もっとくれ!

カオナシがばらまいた砂金を湯屋の人々が取り合うシーンで、青蛙は小さい身体で必死につかもうとしています。

純粋に金が欲しいのか見習で給料が乏しいのかは不明ですが、青蛙の性格が如実に出た隠れた名セリフです。

【千と千尋】カエルとナメクジ女の関係

三すくみの関係

「千と千尋の神隠し」に出る男性はカエルに対し、女性はナメクジのような顔をしています。

カエル男とナメクジ女の対比ですが、なぜ宮崎駿監督はこのような描写をしたのでしょうか。

公式ガイドブック『ロマンアルバム』によると、宮崎駿監督のインタビューでは「現代人はカエルやナメクジのように見えている。私たちもカエルやナメクジのようなものじゃないですか」と語っています。

監督独自の視点で千尋を囲む従業員たちが作られていったということですね。

このような描写をした背景には、「三すくみの関係」があるのではと考察が広がっています。

3すくみの関係とは、中国が周だった時代に閑尹(かんいんし)という学者の著書『三極』に出てくる例えで、3者が互いを恐れ合って身動きが取れない状態を指します。

作中での3すくみの関係を作り上げるならば、龍、蛙、ナメクジという関係が成立します。

龍ではなく蛇ではという声が多いですが、蛇は作中では全く出てきませんし加えて蛇は神格化すると龍になると故事では有名な話です。

なので、おそらく蛇ではなく龍でしょう。

ハクの正体は「ミギハヤミコハクヌシ」という川の神で、本来は龍の姿をしています。

従業員たちが「ハクさま!」とひれ伏す姿を見れば、蛙が龍に勝てないのは分かりますよね。

一方で女性はナメクジのような顔をしています。

龍にもカエルにも勝てないナメクジはより強い被害を受けるというのが由来ですが、男女が働く湯屋はより強いバチバチ感がありそうですね。

確かな存在感を放つ名脇役

青蛙は小さな身体ですが、最初から最後まで確かな存在感を発揮しています。

千尋を庇う姿勢やハクの魔法で人間を見た記憶を消されるシーンが印象的ですね。

カオナシに喰われた後は、声だけですがカオナシと千尋との会話に貢献しています。

後半にもカオナシに吐き出され海にポチョンと落ちて泳いでいく可愛らしいシーンがあります。

よく考えてみると、青蛙がいなければ物語や事件の展開が動かなかったのです。

カオナシが声をもらって千尋と行動を共にするきっかけを作り、千尋が声をあげて驚いたことで油屋では「ニンゲンが入ってしまった!」と館内は大騒ぎになりました。

さらにカオナシがばらまいた砂金を最初に取ったのは青蛙です。

それによって、カオナシが1匹と2人を喰うという大事件が起きました。

このように、青蛙は物語に重大事態をもたらすキーパーソンなのです。

千と千尋の神隠しは1998年に宮崎駿監督が企画を開始し2001年に公開されているので、完成までに4年もの年月を要しています。

それゆえ、主役はもちろん脇役の設定もぬかりなかったでしょう。

リン、湯婆婆、青蛙のような脇役たちは、登場シーンは千尋やハクよりも限られていましたが、製作スタッフの熱意と声優たちの技術で確かな存在感を発揮していました。

確かに我修院達也さんのあの独特な声は印象に残りやすい声ですね。

SNSで多く挙がっている青蛙の高評価は、これまでの考察を踏まえると確かに合っていますね。

知れば知るほど疑問や謎が出てくる千と千尋の神隠しですが、宮崎駿監督は明確な説明は避け考察などは視聴者に任せています。

金曜ロードショーで放送されるたびに視聴率が15%台に乗るなど注目されているので、主役ではなく脇役に注目してみると新しい発見があるかもしれませんね!

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