大人から子供まで幅広いファンを持つ『魔女の宅急便』。1989年に公開された宮崎駿監督の代表的な作品です。主人公のキキが13歳で親から離れ、見知らぬ土地で奮闘する姿に勇気をもらえますね。
今回はそんな主人公・キキが行き詰ったときに慰め、支えてくれた絵描きの少女・ウルスラについて解説していきます。映画では名前が出てくることがなかった彼女。しかし、その温かいキャラクターに惹かれ「彼女は何者?」と思った人も多いのではないでしょうか。
こちらの記事ではそんなウルスラのセリフや、彼女が描いた絵、後半では映画では語られなかった真実まで説明していきますので最後まで見てみてください!
絵描きの少女ウルスラのプロフィール!年齢や性別など
名前 | ウルスラ |
性別 | 女性 |
仕事 | 画家 |
声優 | 高山みなみ |
年齢 | 18歳 |
ウルスラは、キキが猫のぬいぐるみを配達中にアクシデントにより出会った女の子です。画家の少女で、初めて登場したシーンでもカラスのスケッチをしていました。カラスに視点を集中させたまま口早にキキと会話していたシーンでは、ウルスラの絵にかける情熱を感じられます。
劇中では出てこないですが、年齢は18歳と公開されているウルスラ。姉御肌でキキがピンチのときにはそばにいてくれる、頼りになる存在です。
ウルスラの声優はキキと同じ高山みなみさん
ウルスラの声優はキキと同じく高山みなみさんです。今でこそ多数の人気作品で声優を務めている高山さんですが、当時は新人でした。先にウルスラの声優を担当することが決まっていた高山さん。キキのオーディションも受けてみたところなんと合格!一人で二役を担当することに戸惑い、どちらかを降板しようと思ったそうです。最終的には、宮崎駿監督の「責任を取るのは僕だから安心して!」という言葉に背中を押され、キキの声も担当することになりました。
劇中、キキと二人で話し合うシーンがありますが、同じ人が声優を担当していると思えないほど各キャラクターの雰囲気が上手に表現されていますよね
ウルスラの名前は劇中で出てこない
ウルスラは映画の中で「絵描きさん」や「あなた」と呼ばれています。実は映画のエンドロールにも、さらに原作でさえも、その名前は表記されていません。そのため、ウルスラと聞いてもピンと来ない人は多いのではないでしょうか。しかし、金曜ロードショーの公式ツイッタ―アカウントから何度か彼女の名前が出ていることから、公式の名前が「ウルスラ」であることは確かでしょう。
年齢は18歳
ウルスラの年齢は18歳です。赤いタンクトップと切りっぱなしのジーンズがよく似合うボーイッシュな女の子。その見た目からキキと同じくらいの年だと思った人も多いのではないでしょうか。18歳といえば日本では高校3年生です。思春期を終えて大人の女性に近づくタイミングですね。ウルスラはキキの悩みを親身に聞きアドバイスしていました。その温かくほっこりするシーンの2人は、まるで本物の姉妹のようですね。
画家の女の子で森の中で一人暮らしをしている
ウルスラは森の中の小屋に一人で住んでいました。木造の小屋で画材があちらこちらに散らばっていたのが印象的です。スランプに陥ったキキがウルスラの家を訪れた際、「またここに来てもいい?」と聞いた言葉に対し、「夏中はいる気だから」と言っていました。そのことから、普段は別の場所で生活していたことが推測されます。18歳なので夏が終わると学校に通うのかもしれません。
ウルスラの油絵のモデルは?
キキが2回目にウルスラの家を訪れた時、ドアを開けると壁に絵がかかっていました。濃いブルーにペガサスと少女が描かれた神秘的な油絵です。ウルスラはキキをイメージして描いたと言っていたあの絵ですが、実はモデルになった絵が実在していたそうです。
ウルスラの絵には実在のモデルがあった
ウルスラの絵はネット上ではシャガールの絵によく似ているという声がよく挙げられています。しかし、実際のモデルは青森県にある養護施設で生徒が作った版画で、「星空をペガサスと牛が飛んでいく」というタイトルです。モデルとなった作品には女の子の横顔は描かれていません。
劇中で使われた絵は、宮崎駿監督がキキの顔を描き足し、となりのトトロの美術監督である男鹿和雄さんが油絵のタッチを加えて描かれました。元ある神秘的な雰囲気を保ちつつもジブリ作品らしい暖かで柔らかい雰囲気も伝わる素敵な作品に仕上がっています。
「星空をペガサスと牛が飛んでいく」がモデルになった理由とは?
宮崎駿監督は青森県の美術館で貯蔵されていた「星空をペガサスと牛が飛んでいく」を見てとても気に入り劇中に起用したと言われています。実は、宮崎駿監督の妻・朱美さんは、版画教育を牽引していた教育者でした。監督も版画教育の普及に理解を示していたそうで、劇中に版画作品を用いるきっかけになったそうです。
映画では語られないウルスラとキキの隠された真実
ウルスラとキキの声優が高山みなみさんであることは前述しました。他にも劇中では語られることがなかったウルスラとキキの秘密があるようです。
ウルスラの正体は未来のキキ
宮崎駿監督はウルスラについて「あの絵描きのお姉さんも魔女だと思うんですよ。カラスをたぶらかして絵を描く。次にはキキもたぶらかして『あんたは美人だよ』とか、いろんなことを言ってね……。そういうところを持っている人を出したかったんですよね」と言っています。
実は、劇中で登場している女性は未来のキキだといわれています。ウルスラもその一人です。思春期で親元を離れる13歳のキキから始まり、18歳で少女から大人の女性に近づき少し落ち着いた雰囲気のウルスラ、そして26歳で妊娠するおソノさん、37歳で子どもの親離れを見守る母コキリ、最後は70歳でニシンパイの配達を注文してくれた老婦人へと成長していきます。映画の中でキキがウルスラになり、さらに他のキャラクターのように成長していくと思うと作品を見るときの視点が変わりますね。
落ち込んでいるとき心に染みる!ウルスラの名セリフ
ウルスラはキキが困難に直面した時に度々優しい言葉を投げかけてくれます。その言葉に元気をもらった人もたくさんいるのではないでしょうか。ここからはウルスラの勇気をくれる名セリフを映画のシーンとともに紹介していきます。
「そういう時はジタバタするしかないよ。描いて描いて描きまくる。」
これは魔法が使えなくなったキキにウルスラが伝えた言葉です。落ち込んでいたキキは気分転換にウルスラの家でお泊りすることに。ウルスラが「魔法も絵も似てるんだね。私もよく描けなくなるよ」と言っていたことから、彼女自身もスランプに陥った経験があることがわかります。考える前にまずはとことん動いてみることで答えが導き出されることもあると伝えたかったのでしょう。
「描くのをやめる。散歩をしたり、景色を見たり、昼寝したり、何もしない。そのうち急に描きたくなるんだよ。」
ジタバタしても絵が描けなかったらどうするのかとキキが聞いたときに答えた言葉です。さらに「なるかしら?」のキキの問いに「なるさ!」と力強く自信のある言葉を返していたのが印象的です。一生懸命行動し続けているのになかなか状況が変わらないとき、「やめる」ことってなかなか勇気がいりますよね。しかし、ウルスラのスパっとした言葉を聞くと「なるようになりそう!」と勇気がもらえます。
「魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ。」
魔女は呪文で空を飛ぶと思っていたウルスラに「魔女は血で飛ぶの」と説明したキキ。そのあとにウルスラが言ったセリフです。キキくらいの年に絵描きになることを決めたウルスラ。寝る間も惜しんで描くことを楽しんでいたそう。そんな時、突然自分の描いた絵が全然気に入らず、描いても描いても納得できなくなりました。魔法が使えなくなったキキとリンクする瞬間ですね。その当時は苦しかったけど、「前より絵を描くってこと分かったみたい」と振り返りました。
それぞれみんな違った血=才能あることで楽しいことや嬉しいこともあるけれど、その分試練や辛いこともありますよね。スランプを抜けた先には得るものがあるよというメッセージにも受け取れます。