ジブリ映画『天空の城ラピュタ』には、ラピュタ王国に伝わるおまじない(呪文)が登場しますよね。
ヒロインのシータがおばあちゃんから教わったおまじないは、唱えるとたちまち不思議なことを引き起こしました。
あの呪文ってどんな意味だろう?語源を知りたい!そう考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ラピュタの呪文の全文やその語源、詳しい意味まで、徹底的に解説します!
ラピュタに登場する呪文(ラピュタ語)って何語?語源は?3つの噂
ラピュタ語は、『天空の城ラピュタ』の監督である宮崎駿さんの創作したオリジナル言語です。
ところが、実際に存在する言語を参考にしたのではないかという噂があります。
だとすると、ラピュタ語は一体何語なのでしょうか?
噂1:トルコ語
ラピュタ語の中でも最も有名なものとして「バルス」を思い浮かべる人は多いでしょう。
実はこの「バルス」、トルコ語がモデルなのではないかと言われています。
トルコ語で「バルシュ」が「平和」を意味する単語だからです。
劇中でバルスを唱えたパズーとシータも、ラピュタや人々の平和を願っていましたし事実、ラピュタが崩壊したことにより、物語は平和へと収束しました。
巷では、かなり信憑性の高い噂だと言われています。
噂2:ピジン語
ほかにも語源として候補に挙がっているのは、ピジン語です。
ピジン語とは、諸星大二郎さん作の漫画『バッドメン』に登場する言語で、飛行機のことを「バルス」と呼んでいます。
また、宮崎駿監督は諸星大二郎さんの漫画を絶賛しており、大きく影響を受けたのだとか。
ピジン語に「バルス」という単語があるのは、まったくの偶然ではない気がしませんか?
噂3:ケルト語
ほかには、ケルト語が語源ではないかと言う説もあります。
というのも、宮崎駿監督自身が「ラピュタ語はケルト語から影響を受けた口から出まかせ」であると公言しているのです!
ケルト語とは、昔ヨーロッパの広い地域に住んでいた、ケルト人という種族の言葉。
また、ラピュタの舞台のモデルはイギリスのウェールズ地方です。
よって、英語ではないオリジナルの言語としてラピュタ語を生み出す際、ケルト語を参考にしたのではないでしょうか。
ラピュタに登場する呪文一覧(全文)と意味
映画『天空の城ラピュタ』内で登場する呪文と意味をご紹介します。
バルス
「バルス」は言わずと知れた、滅びの呪文です。
飛行石に触れながら唱えると、ラピュタの中心部にある飛行石の核が消失し、ラピュタは空中分解。たちまち崩壊してしまいます。
インターネットでは破壊や崩壊の意味として使われますが、ラピュタ語での正式な意味は「閉じよ」です。
リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール
シータがおばあちゃんに、困ったときに唱えるよう教わっていた呪文がこちら。
「リーテ・ラトバリタ・ウルス」は「我を助けよ」、「アリアロス・バル・ネトリール」は「光よよみがえれ」という意味があります。
実際にシータが呪文を唱えると、飛行石から放たれた光がラピュタの方角を示したり、ロボット兵がシータを守ろうと動き出したりしました。
飛行石やロボット兵が、ラピュタの王族の命令を守り使命を果たすための呪文なのです。
バルスとリーテは対となる呪文?単語を解読
ここで「バルス」「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」それぞれの呪文を、単語ごとに解読していってみましょう。
リーテの方に注目して見ていきます。
「ウルス」という単語、実は公式が解説しているとあるラピュタ語「ウル」と非常に似ているのです。ラピュタの王族の末裔であるシータやムスカの本名にある「ウル」という言葉は、「王」という意味を持っていました。
次に、「バル」という単語。これは「閉じよ」の意味を持つ「バルス」によく似ていますよね。
ここで「ス」を反対語の意味を表す言葉だと仮定してみましょう。
「バルス」が「閉じよ」で、「アリアロス・バル・ネトリール」が「光よよみがえれ」なら、「バル」という単語はおそらく「バルス」とは反対の意味を持つ「よみがえる」という意味になります。
「アリアロス」と「ネトリール」のどちらかは「光」を意味するということですね。
同じく「ウル」が「王」で、「ウルス」はおそらく「王ではないもの」と訳すことができます。
「リーテ・ラトバリタ・ウルス」が「(王ではないものから)我を助けよ」なので、「リーテ」「ラトバリタ」のどちらかが、「我」「助けよ」という意味を持っていることになるのです。
ここまで意味を考えることができるのですから、ラピュタ語はきちんと文法まで設定された言語だと言えますね。
ラピュタ劇中には登場しなかった呪文もある!
実は、映画には登場していない呪文があることをご存知でしょうか?
これは宮崎駿監督が映画本編のために用意した、準備段階の台本にだけ載っているものです。
残念ながら映画内では使用されませんでしたが、ジブが公式に販売している設定資料集にて公開されているものをご紹介します。
レヂアチオ・ルント・リッナ
こちらは「ものみな静まれ」という意味の呪文です。
パズーとシータがドーラ一家と共にラピュタへ向かう途中、巨大な積乱雲・竜の巣へ突入するシーンでシータが唱える予定でした。
この呪文を唱えることで、ラピュタをすっぽりと覆っていた竜の巣が弱まります。
シス・テアル・ロト・リーフェリン
こちらは「失せしもの汝、姿を現せ」という意味の呪文です。
同じく竜の巣のシーンで唱える予定だったもので、ラピュタへ通じる道が開かれる様子が準備稿に描かれています。
このように、事前設定のシータは上手く呪文を操ることに成功し、パズーやドーラ一家をラピュタへと導いていました。実際に上映された、映画本編の何も知らないシータとは少し違いますね。
バルスだけ呪文が短い2つの理由
ラピュタに関する呪文は、覚えるのが大変に感じるほど長いものが多いですよね。
しかし滅びの呪文であるバルスだけは、シンプルで短い1つの単語です。
これには理由があるのではないかとファンの間では考えられています。
理由1:シータが長い部分を唱え終えていたから
1つ目は、実はバルスも長い呪文だが、シータだけがその前半部分を唱え終えていた、というもの。
パズーとシータが一緒になって「バルス」と言ったのは、あくまで呪文の最後の一単語に過ぎなかったというわけですね。
バルスを唱える前にムスカ大佐から3分間の猶予をもらっていたので、準備しておく時間は十分にありそうです。
理由2:ラピュタの崩壊が一瞬であることを示唆しているから
2つ目は、あっという間に崩れてしまうラピュタの象徴である、というもの。
何事も作る上げるためには長い時間と膨大な労力が必要ですが、崩壊するのは一瞬です。
ラピュタ自体や、そのラピュタを長い年月追い求めてきたムスカ大佐のあっけない最期を表現したメタファーなのではないでしょうか。
ラピュタの最後はみんなで「バルス!」
『天空の城ラピュタ』がテレビ放映されるとき、すっかりおなじみとなっているのは、インターネット上での「バルス祭り」。
パズーとシータがバルスを唱えるのと同じタイミングで、みんな一緒になって「バルス」とSNSに投稿するというものです。
あまりに多くの人が同時に投稿したため、SNSのサーバーがパンクしてしまうという出来事もありました。
バルスの登場時間は「1時間55分5秒」ほど
では、具体的に本編のどのあたりでバルスは唱えられるのでしょうか?
パズーとシータがバルスを唱えるタイミングは、2時間4分ある本編のうち、およそ1時間55分5秒。
かなり終盤のシーンなので、油断して見逃さないようにしたいところですね。
テレビ放送のバルスの時刻は「23時22分」前後
では、テレビ番組で21時から放送された場合はどうでしょうか?
カットやコマーシャルを挟むことを加味すると、だいたい23時22分前後です。
23時を過ぎたあたりから、SNSを投稿する準備をしておいていいかもしれません。
次回『天空の城ラピュタ』が放送されたときには、家族や友人と一緒にバルス祭りを楽しんでみてはいかがでしょうか!
[laputa]