『となりのトトロ』は、原作・脚本・監督を宮崎駿さんが手がけたスタジオジブリの長編アニメーション映画です。1988年に公開されて以来、褪せない名作として幅広い層の人気を集め続けています。
そんな『となりのトトロ』に登場する名脇役・カンタは、ジブリファンの間でも人気の高いキャラクターです。古き良き日本の少年を表現したような人柄や風貌が特徴的で、印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、劇中ではあまり素性の明かされないカンタについて詳しく解説していきます。『となりのトトロ』をより深く楽しみたい人はぜひ最後までチェックしてみてくださいね!
『となりのトトロ』のカンタはどんな子?詳しいプロフィール
名前 | 大垣勘太(おおがき・かんた) |
性別 | 男性 |
年齢 | 12歳(小学6年生) |
風貌 | 丸坊主で小柄 |
声優 | 雨笠利幸 |
カンタは、草壁家が引っ越してきた家の管理を行なっていた大垣家の子供。そのため、物語の序盤からサツキやメイと関わりを持っています。丸坊主に短パンという少年らしい風貌が特徴的で、ぶっきらぼうな態度をとる描写があるものの、心優しく思いやりのある性格をしているのが魅力です。
カンタの年齢は12歳!サツキの同級生
カンタの年齢は12歳であり、サツキと同じ学校に通う同級生です。劇中では授業中にサツキの顔に見惚れるシーンが描かれており、同じクラスであることも判明しています。いつもタンクトップに短パンという服装で、サツキよりも少し背の低い小柄な体も特徴的です。
12歳らしいやんちゃな発言や行動も目立つように描かれており、サツキと小競り合いをするようなシーンも見られます。一方で家の畑仕事を手伝う姿も描かれ、実は家族を助けるしっかり者だということもわかるため、不器用な憎めない少年として人気が高いのです。
カンタの声優は俳優の雨笠利幸さんが担当
カンタの声優を担当したのは、当時11歳だった俳優の雨笠利幸(あまがさ・としゆき)さんです。12歳のカンタとほとんど同じ年齢で、リアルな少年の声をカンタに吹き込んでいます。
『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』をはじめとするドラマや、『春日局』や『太平記』などの大河ドラマで子役として活躍していた俳優です。『となりのトトロ』以外でも『童謡物語』や『白い手』などで声優を担当していました。
名場面で活躍する!カンタは傘を貸してくれる飛行機好きの少年
カンタは劇中の名場面でサツキやメイを助ける印象的なキャラクターです。特にファンの中で人気なのは、傘を持っていないサツキとめいが夕立で立ち往生していたところに、カンタが傘を置いていくワンシーン。傘のないサツキとメイを放っておけないカンタ優しい一面が描かれています。
そしてカンタは傘をささずにずぶ濡れで帰宅して母親に怒られるのですが、サツキとメイに傘を貸したことは言わず「忘れてきた」としらを切るのです。このシーンで飛行機の模型をもくもくと作る姿が描かれるため、カンタが飛行機好きであることが分かります。
そしてそこへ、サツキとメイが傘を返しにやって来ます。カンタの母親がそれを受け取ってサツキと小話をする間、カンタはご機嫌に部屋を駆け回りました。2人の役に立てたことや、2人が濡れずに済んだことなどに喜ぶような可愛らしい一面もあるのです。
カンタの自転車の漕ぎ方が不思議だという意見も
カンタは、物語の終盤でメイを探すために自転車に乗るのですが、その姿が少々変わっていると注目されることもしばしば。サドルに座らず、ペダルにのみ足をかけて立ったまま自転車を漕いでいるのです。不安定で危ないようにも見える漕ぎ方は、ファンの中でもたびたび話題となります。
これは、現在ではあまり見られない「三角漕ぎ」という自転車の乗り方で、身長の低い子供が大きな自転車に乗るために編み出した方法だそうです。当時は子供用の自転車が出回っていなかったため、多くの子供は三角漕ぎで自転車に乗っていました。
カンタの家はお金持ち?おばあちゃんや本家との関係
カンタは草壁家が引っ越してきた家や広大な畑を所有するような家の子供であるため、実はお金持ちなのではないかと考察されることも多いのです。実際に劇中で登場するカンタの家は大きく、畑や田んぼもとても立派です。
カンタは分家の子供!劇中に登場する親戚も多い
劇中ではカンタのおばあちゃん、そしてカンタの本家のおばあちゃんが登場します。サツキとメイの世話を甲斐甲斐しく見てくれていたおばあちゃんはカンタの母方のおばあちゃんであり、分家で一緒に暮らしています。親しみやすく気さくで、草壁家を気にかけてくれる優しいおばあちゃんです。
一方でサツキが電話を借りたカンタの本家には、着物姿でゆったりとくつろぐ本家のおばあちゃんが登場します。この本家のおばあちゃんはカンタのおばあちゃんと姉妹関係、もしくは義姉妹関係にあるのです。先祖直属の本家で暮らすおばあちゃんは、どこか優雅で畑仕事などはしない高貴な暮らしをしているように描かれています。この描写が、本家と分家の違いをはっきりと表現しました。
つまりカンタの家は立派な本家から派生した分家であり、そこそこ裕福だということが分かります。迷子になったメイを捜索するシーンでは多くの親戚が総出で登場しているため、分家や親戚の数の多さもよく分かりますよね。
カンタのお母さんやおばあちゃんは名脇役!声優やセリフも有名
また劇中には、分家で暮らすカンタの家も少し登場しており、カンタの家族とおばあちゃんが一緒に暮らしていることが分かります。カンタのお母さんはサツキとメイと話すシーンもあり、短いシーンですが、気さく明るい性格が描かれました。
カンタのお母さんの声優を担当したのは女優の丸山裕子さんで、ハツラツとしたカンタのお母さんを元気に演じています。サツキとめいに傘を貸してずぶ濡れになって帰ってきたカンタに「雨が降ってる時に傘を忘れるバカがどこにいるの!どうせ振り回して壊しちゃったんだよ!」と怒っているシーンも印象的です。
また、カンタのおばあちゃんの声優は女優の北林谷栄さんです。数々の映画や舞台で活躍した女優として有名で、優しく味のある声がおばちゃん役にピッタリとはまり『となりのトトロ』の代名詞となりました。サツキとメイに野菜をお裾分けしながら「ばあちゃんの畑のもんを食べりゃ、すぐ元気になっちゃうよ。」と話すシーンが印象的です。
カンタには兄弟がいた?小説版『となりのトトロ』が明かす背景
アニメ映画の劇中では描かれていませんが、カンタには2人の兄と1人の弟がいます。この背景は『となりのトトロ』の小説版で描かれており、公式では発表されていませんが、アニメ版では尺や演出の都合上省かれたようです。また、小説でも2人の兄の音は詳しく描かれず、弟である小学1年生の茂太との関係性に焦点が当てられています。
カンタに弟がいたという背景を知ると、劇中で泣いているメイに優しかったり、面倒見が良かったりするのも納得ですよね。心根の優しさは、カンタの家族構成の影響もあると言えるでしょう。
カンタにはトトロが見えない?見える条件がある?
劇中でカンタがトトロと関わることはなく、カンタがトトロを見たり、トトロに導かれるようなことはありません。これは、カンタにとってトトロが必要な存在ではなかったからだと言われています。劇中でカンタはトトロの力を借りなくてはいけないような事態に陥らないため、トトロがカンタの目の前に現れることはなかったのです。
実際にサツキも、メイが迷子になって困り果てるまでトトロのもとへは導かれませんでした。それ以前から2人はトトロを見たり、関わることはありましたが、これは母親が入院していたり、新しい環境に引っ越してきたばかりの2人の不安定な心がトトロを必要としていたからだと考察されます。トトロは自分を必要とする子供のもとへ、過不足なく現れる神様のようです。
ファンが気になる!カンタとサツキのその後は?
カンタはサツキに初めて会った時から、そっけなく意地悪な態度をとっています。しかしその描写をよく見てみると、カンタはサツキを見て目を丸くしたり、ドキマギしたりする初々しい反応見せているのです。その他にも学校で授業を受けている時に、友人と話して笑顔を見せるサツキに見惚れるシーンもあり、カンタは少なからずサツキに好意を持っていることが分かります。
さらに映画をよく見ると、繊細な描写で絆が深まっていることもよく分かるのです。映画序盤でサツキはカンタを「カンタさん」と呼び、カンタはサツキを「お前」と呼んでいるのですが、映画終盤になるとその呼び名は「カンちゃん」と「サツキ」に変化します。2人は不器用ながらも交流を重ね、幼馴染として絆を深めていますね!
また『となりのトトロ』の時代設定は昭和28年であるため、男女の交際も今よりずっと慎ましく、関係を公にすることもありません。そのため、2人は年頃になっても控えめな交際を続けていくのではないかと多くのファンから考察されています。公式や宮崎監督からの明言がないため考察が錯綜していますが、2人が将来結ばれることを望むファンが多いのは確かです。
カンタは『となりのトトロ』の名脇役!名セリフとシーンを紹介
ここからは、『となりのトトロ』で名シーンを彩るカンタの印象的なセリフを紹介してきます。
「やーい!おまえん家、おっばけやーしきー!」
草壁家が大垣家の所有する家に引っ越してきた時に、カンタがおはぎを差し入れにやって来て、初めてサツキと出会うシーンのセリフです。カンタはサツキの存在に驚いてぶっきらぼうにおはぎを渡すと、このセリフを言ってサツキからかいます。サツキもそれに腹を立てて悪態をついて見せ、2人は小競り合いをする仲になるのです。
「んっ!んっ!」
突然の夕立で立ち往生するサツキとメイに自分の傘を差し出すシーンのカンタのセリフです。何か言葉を言うわけではなく、傘を差し出して去っていきます。サツキとめいはその行動に驚きますが、走り去ったカンタの表情は満足げ。カンタの心根の優しさが描かれている名シーンです。
「俺、かわりに七国山へ行ってやるから。お前は家に戻れ。」
物語の終盤で迷子のめいを捜索するシーンで、必死に駆け回るサツキにカンタが優しさを見せます。サツキとメイのお母さんが入院する七国山病院に、自分が自転車で行くと打診するのです。めいを心配して余裕のないサツキを気遣い、なんとか助けようとするカンタの男らしさが垣間見える人気のシーンですね。