【風の谷のナウシカ】王蟲の正体とは?印象的なシーンやモデル考察も

「王蟲」と言えば、1984年に公開されたジブリ映画「風の谷のナウシカ」に登場した架空生物です。巨大なダンゴムシのような印象的な見た目をしていて、ジブリファンに間では人気の高いキャラクターですよね。

しかし王蟲は、物語の要ともなるにも関わらず、詳しい生態は不明。物語の中でも超現実的な能力を使ったりと、不思議な部分がたくさんあるのです。今回は、そんな王蟲について解説していきます。「風の谷のナウシカ」のファンの方はぜひチェックしてみてくださいね!

目次

【風の谷のナウシカ】王蟲とはどんな生き物?

体の部位特徴
皮膚緑色で非常に頑丈
鎧のような見た目
14個の複眼
通常時は青色、興奮時は赤色になる
触手死者を蘇生させるほどの治癒能力を持つ
相手の感情を読み取ることもできる
血液青色

王蟲は、「風の谷のナウシカ」に登場する蟲と呼ばれる種族に属する架空生物。幼虫でも軽トラックほどのサイズがあり、成虫は80mもの巨体に成長します。ダンゴムシや三葉虫、カブトガニの姿を合わせたような見た目をしているのが特徴です。

そして大きな半球のガラス玉のような瞳を14個も持っており、その作りは非常に頑丈。風の谷の人々は王蟲の亡骸からその瞳を採取し、道具として活用しています。体が上質であったがために、原作では武器商人による乱獲も行われていました。

さらに王蟲は超常的な力のある触手も持っており、その力は未知数。1度死んだナウシカを蘇生させたこともあり、強い治癒能力を持っていることはわかります。加えて触手は相手の心を読むことも可能です。実際に王蟲はナウシカの友好的な心を読み取り、攻撃をしないシーンも登場します。

虫嫌いの人には、少々気持ちの悪い姿に見えますよね。鎧のようなその姿は少々グロテスクでインパクトがあり、怖いと思う方も少なくないでしょう。しかし王蟲は穏やかで優しい性格をしており、腐海を守る生物として物語の要を担っているのです。

【風の谷のナウシカ】王蟲が登場するシーン

王蟲は「風の谷のナウシカ」の世界で重要な働きをするキャラクターです。物語は王蟲の行動によって大きく展開され、登場人物たちもその存在を腐海の王として敬っています。

まさに「風の谷のナウシカ」の欠かせないキーキャラクターと言えるでしょう。ここからは、そんな王蟲の印象的な登場シーンを紹介していきます。

テレパシーのような能力でナウシカの心を読む

王蟲は触手で触れた相手の心を読む力を持つ不思議な生物。そしてその能力でナウシカの心を読み取るシーンが存在します。それはトルメキアの人質として連行されている道中に、腐海の付近に不時着したナウシカが王蟲の群れと遭遇するシーンです。

ナウシカは、突然現れた人間に対して警戒する王蟲に友好的な態度を見せます。腕を広げて王蟲が伸ばす触手を受け入れ、敵意がないことを示したのです。ナウシカの優しい心を読み取った王蟲たちは、威嚇もせずにその場から立ち去りました。

王蟲との遭遇時、トルメキアの皇女・クシャナは王蟲に怯えて銃を使おうとします。しかしナウシカがそれを阻止して王蟲に身を委ねたので、ナウシカ一同は事なきを得ます。王蟲は非常に利口な生物で、人間以上に人間の感情へ寄り添うことができる生物なのです。

怒りのために大群となって一国を滅ぼす

王蟲は基本的には優しく穏やかな性格をしていますが、怒らせるとその恐ろしさは凄まじいもの。劇中では怒った王蟲の群れがトルメキアと対立関係にあった国・ペジテを滅ぼすシーンが登場します。王蟲の群れは巨体を活かした恐ろしい波となり、建物も人間もなぎ倒すのです。

また、映画版のストーリーではペジテが風の谷にいるトルメキア軍を一掃するために、王蟲の幼虫を傷付けて王蟲を怒らせます。ペジテの国民は怒った王蟲の群れを風の谷に誘導し、全てを破壊しようとするのです。怒った王蟲の勢いは非常に強力で、最新の武器や巨神兵すらも太刀打ちできませんでした。

ナウシカが身を持って制止したことで王蟲の怒りから風の谷は守られますが、それも命懸けのことです。風の谷の大ババ様も「王蟲の怒りは大地の怒り」と言い、その力には誰も抗えないことを示唆しました。

強力な治癒力でナウシカを蘇生する

「風の谷のナウシカ」の中で最も印象的なシーンと言っても過言ではないラストシーンにも、王蟲は登場しています。それはペジテにけしかけられて怒り、風の谷に押し寄せる王蟲たちとナウシカが対峙するシーンです。

自らの命と引き換えに風の谷を守ろうとしたナウシカに王蟲は怒りを鎮め、触手でナウシカの体を癒しますその前にナウシカは、王蟲を怒らせるダシとして使われた王蟲の幼虫のことも助けていました。王蟲たちはそんなナウシカの優しさと勇敢な行動に寄り添ったのです。

【風の谷のナウシカ】王蟲の鳴き声は布袋寅泰さんのギター

王蟲は劇中で、独特な高さと歪みを持つ鳴き声で感情を表現しています。とても人の声で表現できるような声ではなく、非常に神秘的でどこか奇怪なのが特徴です。

そんな王蟲の鳴き声を作り出したのは、人気ロックバンド「BOOWY」のギタリストである布袋寅泰氏だと判明しています。これは本人がSNSで発表したことで知られるようになりました。本人曰く、「風の谷のナウシカ」の音楽を担当していた久石譲氏から依頼を受けて演奏したそうです。

この事実を知ってから王蟲の鳴き声を聞くと、歪みや音質がどことなくギターの音に聞こえます。不思議で神秘的な王蟲の鳴き声は、人の声ではなく天才的なギタリストの演奏によって生まれたものだったのです。なんだか「風の谷のナウシカ」を再鑑賞するのが楽しくなる知識ですよね。

【風の谷のナウシカ】王蟲の正体は?

映画版の「風の谷のナウシカ」では、王蟲は地球の浄化装置である腐海を守る蟲としてしか描かれません。しかし、そんな王蟲には歴とした正体があるのです。それは映画版の原作となる、漫画版「風の谷のナウシカ」で描かれています。

実は王蟲は「旧人類が造った人工生物」であることが、漫画では判明しているのです。旧人類は地球の空気を浄化する腐海を助ける存在として、王蟲を造りました。つまり王蟲は、地球の空気を浄化する腐海の人工的な守り神なのです。

さらに王蟲は、人工的な生物であるからこその悲しい運命も抱えています。地球をリセットするために、まず旧人類は巨神兵に地球を焼かせる「火の7日間」を実行しましたよね。そして腐海が地球の汚れた空気の浄化を行う。王蟲はその腐海のために生み出された生物です。

そのため、地球の空気を浄化しきって滅ぶ腐海と共に、王蟲も用無しの存在として滅びゆく運命にあります。あまりにも切なく乱暴な結末ですが、旧人類たちは浄化後の地球で王蟲と共生する気がなかったのです。

【風の谷のナウシカ】王蟲のモデルを考察

見た目が非常に特徴的でインパクトのある王蟲ですが、そんな姿にはモデルが存在していると考えられています。

ダンゴムシや三葉虫などの実在する虫

王蟲が鎧のような特殊な皮膚を持ち、複数の細かな足で移動します。そのことから、特徴が似ているダンゴムシや三葉虫がモデルとなっているのではないかと考察されたのです。

確かに見た目や特徴は非常に似ていますが、これはファンの完全な憶測によるもので、公式の発表ではありません。宮崎駿監督が実際に言及したモデルではないため、有力な説とは言えないでしょう。

モスラの幼虫

一方で1961年に公開された「モスラ」という映画に登場する怪獣・モスラの幼虫がモデルだという説もあります。これに関しては宮崎駿監督自信が語っているため、事実と言って良いでしょう。

実際にプロデューサーであり宮崎監督と親交のある岡田斗司夫氏も、そのことを裏付ける発言をしています。岡田氏はニコニコ動画で行っている「岡田斗司夫ゼミ」で、初代モスラを劇場で鑑賞した宮崎監督が、劇中で渋谷を蹂躙するモスラの幼虫に感銘を受けて王蟲を作ったと解説したのです。

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