1986年に公開されたスタジオジブリの代表作「天空の城ラピュタ」。
主人公の少年パズーが空から降ってきた少女・シータと幻のラピュタ島を探検する物語。
金曜ロードショーで放送されるたびに「バルス祭り」と呼ばれる現象が起こり、公開から30年以上が経っても根強い人気を誇っています。
そんな中で、パズーとシータがその後どうなったか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回はスタジオジブリの公式絵コンテや小説の中のエピソードを交え、考察していきます。
パズーとシータのその後は小説で明らかに!
映画公開後に発売された小説版「天空の城ラピュタ」では、パズーとシータのその後が描かれています。
小説ではラピュタ崩壊後2人はそれぞれの故郷で暮らしていましたが、半年後にパズーがシータの元を訪れるという展開。
2人の後日談についても様々な憶測があるので、スタジオジブリの回答も交え見ていきましょう。
大人になってからの2人は結婚した…?
天空の城ラピュタ公開後、宮崎監督が一枚のイラストを描いた。あの物語のその後を連想させるかのような、たった一枚のイラスト。花束を持ったパズーがオーニソプターに乗って、シータに会いに行くイラスト。 pic.twitter.com/lLOijLZFCp
— ジブリ大好き(*´ω`*) (@Ghibli_daisuki) February 24, 2022
結論からいうと、2人が結婚したという事実はありません。
「天空の城ラピュタ」が公開後、宮崎駿監督は一枚のイラストを公開。
飛行機を完成させたパズーがシータの元を訪れ花束を渡すという絵です。
2人のその後に関しては、1989年に一度だけ幻のエンディングが放送されています。
YouTubeなどのSNSでは見当たらないので、有力説を挙げますね。
通常はラピュタ崩壊後パズーとシータは凪に乗って去りエンドロールで終了という流れ。
しかし幻のエンディング版ではこのように少し違う設定になっています。
- ラピュタ島から生還した2人が強く抱き合う
- シータが故郷からヤクを連れてくる
- 笑顔でドーラの凪に乗る2人
- 雲から見える「終わり」の文字
という流れになっているのです。
2人は偶然の出会いからラピュタ島を目指す同志となりました。
ラピュタ島に向かう凪の中でシータはパズーの身体から離れませんでしたね。
友情とも恋心とも違う2人を結んでいるのは、ラピュタ島という夢なのでしょう。
とはいえ、2人はまだ10代でパズーに至っては13歳です。
スタジオジブリは公式に回答していないので、ここは想像だけで止めておくべきでしょう。
半年後を描いた絵の中でパズーが持っている花束の意味も気になるところです。
シータへの贈り物という解釈が妥当ですが、もしかしたら未来への花嫁となる彼女へのプレゼントなのかもしれません。
パズーとシータはお互い好きだったの…?
ファンの間で盛り上がっているのがファンタジーの中にある恋愛要素。
パズーとシータがどのような関係だったか、作中のシーンも引用しながら解説します。
パズーがシータを好きになった理由やタイミング
パズーはかなり早い段階からシータに好意を抱いていたと考えられます。
考えられる理由は3つ。
まずは1晩しか会っていないのにも関わらず、シータの状況を知ってからは男の子用の服を用意したり村人たちと協力してドーラたちからシータを匿ったりと、かなり積極的に動いています。
ほぼ初対面の女の子に対してここまで行動的になれるのは「この子を守りたい」というパズーの純粋な思いから来ているのではないでしょうか。
ドーラたちとのシーンでは、「僕に力があればシータを守ってあげられたんだ。どうか力を貸してくれ。お願いだ」とまるでドラマのようなセリフがあります。
また小説版では空から降ってきたシータに「きれいだなあ・・・」と驚きを忘れて見とれる一コマもあります。
13歳の年頃の男の子が空から降ってきた少女と恋に落ちるという、非日常感もありますね。
シータがパズーを好きになった理由やタイミング
シータがパズーへの恋心を抱いたタイミングは公式本に記載されています。
冒頭でパズーが地下に落下しそれを追ったシータがパズーと接触するシーンがありますね。
スタジオジブリの公式本『ロマンアルバム』にはこのような記載が。
「シータはパズーに会ったばかりの頃、ろくにコミュニケーションをとる前から恋心を芽生えさせている。屋根からパズーが落下しその上にシータが落ちて重なった場面が、シータがパズーを好きになった瞬間である」
はじめてパズーの身体に触れたというところが、異性として意識し始めたポイントと考えられます。
もうひとつは2人は同じ境遇の持ち主であるということ。
パズーもシータも早くに両親を亡くし、身寄りがない孤児です。
シータはラピュタ王家の正式な王女としてムスカたちから常に警戒されていました。
「自分には傍にいてくれる人がいない」という孤独感も感じていたのかもしれません。
シータはパズーより年上とはいえ10代であることは間違いないはず。
年頃の女の子が献身的な男の子を好きになるという、少女マンガの定石パターンですね。
2人はまだ幼い年齢ですから、相思相愛とまではいかないでしょう。
しかしただの友達ではないことだけは確かですね。淡い恋心があってもおかしくはありません。
パズーがシータを助けるシーンは大人気!
天空の城ラピュタの有名シーンは2人が滅びの呪文を唱える「バルス」ですが、ファンの間では要塞に囚われたシータをパズーが助けるシーンが人気ナンバーワン。
「シーターッ‼」というパズーの一言が有名ですよね。
パズーの決意の強さと「助けに来たよ」というシータへの想いが込められています。
加えて印象的なシーンが2つあります。
パズーは死んだロボットを思い泣いていたシータの肩を抱いて彼女を慰めていました。
小説版「天空の城ラピュタ」では、シータに辛い思いをさせてしまって申し訳ない、何もしてやれなかった自分に腹がたつというパズーの心情が詳しく書かれています。
さらにラピュタ島へ向かうためにドーラたちの飛行船での夜のシーン。
シータが橋を上ってパズーの元へやってきます。
自分が唱えた呪文で犠牲者が出て、また新たな犠牲が生まれるのではと怯え「怖くてたまらない」というシータに、パズーは「全部片付いたらゴンドラの谷へ送って行ってあげる。見たいんだ、シータの生まれた古い家やヤクたちを」というセリフを残します。
「この旅が終わっても君に会いに行くよ」というシータを一人ぼっちにさせない強い思いが痛いほど伝わってきますね。
ラピュタ家の王女としての宿命から逃れられないシータをそっと支えているパズー。
彼女だけでなく痛みや重みも一緒に背負おうとするパズーの勇敢な姿勢が出ていますね。
彼らにはもう言葉は必要ないのかも知れません。
2人が確かな絆で結ばれていることには変わりないのですから。
「天空の城ラピュタ」の人気が根強い理由
宮崎駿監督はこの物語を作る際「ガリバー旅行記」に出てくる遺跡のラピュータを参考にし、小学生でもわかる物語を作りたかったとインタビューで語っています。
確かに、主人公は少年少女の2人で幻の島へ冒険にでるといういたってシンプルな構図ですね。
伝説の浮かぶ島、不思議な力を持つ石、少女の命を狙う海賊、貧しい少年と王女との出会い。
他にもロボットや不思議な文字、飛行船や空中に浮かぶ島など、化学や言語学などの好奇心を刺激するアイテムが続々と登場します。
小学生でも「これってどういう意味だろう?」と調べたくなる内容のものが多いですよね。
内容が同じでも毎回新しい発見があるからこそ注目されて、より作品が好きになる人たちが増えてジブリへの関心も強くなるという相乗効果があるわけです。
宮崎駿監督は分かりやすい構図に違和感を加えてより印象強くさせる制作方法を取っているので、30年以上が経っても視聴率が15%にのぼるのも納得がいきます。
今回は「天空の城ラピュタ」のパズーとシータのその後や結婚の可能性について解説しました。
あれだけ恐ろしい体験をした2人には、幸せになって平穏に暮らしてほしいですね。